「本気で走っているの?」の続き
「本気で走っているの?」の続き (その後お母様に声をかけられて) 担任より
以前の『リレーを通しての保育者とCちゃんとのやり取り』を読んだCちゃんのお母さんから、「リレーの話、読みました。あれうちの子ですよね・・・」
以前の話は一見、保育者に対して年長児が強く自分の思いをぶつけたようにも感じますが、その背景には様々な経験や思い、気持ちが込められていました。私が保育をお休みしていたある日、手紙が届きました。つたない平仮名で『せんせい はやくようちえんにきてね』、Cちゃんのおねえちゃんの手紙には、「大丈夫ですか? Cが『先生がいない、いない』って言ってます」と。
休み明け幼稚園に通い始めると照れたように側に来て、「バイバイしてきたんでしょ。知ってる。お葬式って言うんだよね。悲しいやつ、ママが言ってた。」と呟くように言いました。それからも「おはよう」と声をかけると「先生、笑ってるの?ホントは涙出るんでしょ・・・(出そうなんでしょ)」「お家で泣いちゃったんじゃない?悲しい時は泣いてもいいんだよ。先生前に言ってた」(以前自分が我慢をした時に「泣いてもいいんだよ」と言われた)と、静かに伝えてくる表情は不思議そうな顔でした。
9月の避難訓練の後、東北震災の話をすると、「うちが生まれていない時に、いっぱい水が来てママが心配でおばあちゃんに電話したけど出なかったんだよ。」と、自分の言葉で伝えようとしていました。日々の生活とは違う出来事に気持ちを動かし、『悲しい』だけではない、その出来事に寄り添いながら色々な気持ちや感情に気づき始め、感じたことを素直に言葉で表現し始めているように思いました。その話から“母さんと、色々と話しながら考える時が多いのか”ともました。聞くと、「詳しく話しているかなー? でも月命日を大事にしているんです。子どもたちは、震災は経験していませんが、曾おばあちゃんが震災で亡くなったので、震災のニュースが出るとよく話をしています。」と、お聞きしました。
子ども自身の生きた経験や何気ない日々の生活、家族との生活や会話などから、様々なことを感じ考えていくなかで、大切な人の思いを察しようと葛藤しながら豊かに育まれていく姿を、まさに目の前の子どもとの生活から感じることのできたエピソードともなりました。
(写真は別場面)