劇遊びへ向けて ⑧ 〜今日は劇やりたくない〜
今年度も、あと1カ月程になりました。年長の登園時間は早くなり、8時過ぎから衣装作りやこま回し、縄跳びと心も体も動き始めているように感じます。
W君が浮かない表情でやって来ました。前日、劇の衣装を夢中になって作り「明日も続きを作る」と言っていたので、何かあったのか?と思い声をかけたくなりましたが、様子を見る事にしました。グループが集まり劇を始めようと、みんなで台詞や動きをやりますが、自分の所になっても眉間にしわを寄せ動き出しません。「後で遊戯室でやろうね」とみんなが園庭に行こうとした時「今日は劇やりたくない…」と呟きました。
W君は気持ちものり、絵本選びや衣装作り、ことば遊びも楽しみ、「今日も劇やりたい」と話していたので、その言葉の真意がわかりませんでした。W君はテラスに座り友達の様子を見ています… そして「劇が、いろんな所をやるから難しくわからなくなってきた。前は僕とY君2人の所やってたけど、みんなの所やるし、どんどん違う所もやるでしょ。いっぱい考えないといけなくなってきた。P先生(違うグループ)の劇も見に行きたくない。もっと頭の中に色んな劇がいっぱいになって、ぐるぐるして、よくわからなくなっちゃうから。だから今日は劇やりたくない」
W君の言葉からその思いを感じ驚きましたが、W君が自分の気持ちを伝えてくれた事を嬉しく感じました。
今回の劇遊びを通し、W君は「~をやってみたい」「先生のじゃなくて、自分で決めたい」と話し保育者もその事を一緒に考え試し共に劇を作っている過程を感じていました。これからの日常で、共感的なまなざしの中で子ども達との対話を大事にしたいと感じています。
(保育者より)