〜かがくのとも 『にわのキアゲハ』を通して〜
春、園庭に来るちょうちょを見つけると、読みたくなる『にわのキアゲハ』。
年長の子どもたちに読み聞かせをすると、蝶の卵からはちが出てくる時に「え!」と驚いたり、脱皮をして大きくなる蝶の姿をじっと見ながら聞いていました。蜂が幼虫に近づくのを見て「危ない!」と思わず声が出たり、カマキリに捕まえられてしまった幼虫を見て「かわいそう、、、」と呟いたり、臨場感のある描写に子どもたちの心は、いつの間にかキアゲハの幼虫と同じところに行っているようで、読んでいる場の雰囲気には緊張感さえ感じます。沢山の試練を乗り越え、最後にやっと1匹のさなぎが蝶になる場面になると、子どもたちも力が抜けたように「ふ〜」と安心したような声が漏れました。
この絵本を読んだ後に蝶の幼虫を見つけた子が、虫かごで飼いたいと話し、「さなぎが捕まるところがないとダメだ!」と必死に園庭にある枝を集めていました。毎朝一番にかごの中を確認し、その成長を真剣に見守っていました。そして、とうとう蝶になったのを見て「蝶になってる!」と目をキラキラさせながら教えてくれたのです。この絵本で描かれたドラマが、子どもの好奇心に繋がり、小さな命と向き合う経験ができたのではないかと思いました。この絵本に子どもたちがどんな反応を見せてくれるのか毎年ワクワクしながら読んでいます。(保育者より)